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このブログでは、関西・近畿とその隣接域を主体に、主に車中泊キャンプの様子や野外活動にまつわること、趣味の蕎麦食べ歩きや愛車・クルマのことについて綴っていきます。

【蕎麦探訪記 No.110】ちく満(ちくま)

ちく満(ちくま)
大阪府堺市堺区宿院町西1-1-16

訪問日:令和5年10月9日(月) 10:50
天 候:曇り
気 温:21℃
湿 度:78%
URL:http://chikumasoba.com/
電 話:072-232-0093
所在地:大阪府堺市堺区宿院町西1-1-16

https://maps.app.goo.gl/TbQKrZ2jfCxX9VVq7

 

創業が元禄八年(西暦1695年)の超老舗店・ちく満。

宿院(現在の堺市堺区宿院町)に店を構えられておよそ328年になります。宿院という地名は、昔、このあたりには寺社が多くあり宿坊(宿院)がたくさんあったことに由来するともいわれています。店のすぐ近くには堺にゆかりのある著名人、千利休の屋敷跡や与謝野晶子の記念館があります千利休没が1591年なので時系列的には100年近く間がありますが、もし千利休がこの100年後の時代の人だったら、もしかしてちく満さんで蕎麦食べてたのかな…とか思うとなんだかちょっと面白いですね。ま、あり得ない妄想のお話ですけど。

ちく満さんは創業時から蕎麦の提供を行っていたというのが通説ですが、ネットで得た内部リークっぽい話では蕎麦の提供が開始されたのは終戦後からという情報もあります。仮にそうだとしても戦後70年以上は経過してるのでそれでも十分老舗と言えますが…
昭和34年には営利法人化し「株式会社ちく満」、屋号は「ちく満」でいいのかな…

これ店の看板ですけど、「ちく満」の上の文字が読み取れないっ💦誰か読めますこれ?

多分「生そば」的!? てことは正しくは「生そば ちく満」ってことなのでしょうか…公式web見たら「ちく満そば」との表記もあったりともう混乱… もう「ちく満」でいいでしょう、うん。まあとにかく営利法人化してます、ってお話でした。令和4年11月には、戦後からの店舗は老朽化が進み地震災害等に耐え得らない状況になってきたため、新店舗が竣工しています。現在の店舗は↑の写真のように綺麗になりましたが以前の古屋敷風の雰囲気は無くなっています。

ちく満さんは、関西・上方で今や数少なくなったせいろ蒸し蕎麦、所謂「熱盛蕎麦」専門の老舗。ここは熱盛蕎麦の専門ですが、熱盛蕎麦の店を知るに当たって巷では熱盛を分かっていない低評価口コミが散見されるので、そういうのは見ないようにしてください。熱盛蕎麦の歴史を知らずに「蕎麦にはコシがあるもの」という固定観念&先入観と、自分の好みには合わないからダメだという単なる個人的な主観と偏見によって熱盛蕎麦を語っているだけです。ま、口コミなんて元来そういうものなので書きたいように書けばいいんですが、事実や本質も知らずに好き勝手書くのは己の無知をわざわざ自分から全世界に向けて発信しているようなものですけど、それわかってるのかな… わかってたら書かないでしょうけどね普通。

熱盛蕎麦とは、明確な定義は曖昧で「これが熱盛だ!」というものはどうやら存在していないようですが、文化的背景から普遍的・一般的に知れ渡っている熱盛蕎麦とは江戸時代からの上方発祥のせいろ蒸し蕎麦のことを指し、「熱盛蕎麦」、「敦盛蕎麦」などと表現したりします。ちなみに「敦盛」とは平敦盛にちなんでいて、これはいわゆる粋な言葉遊び・蕎麦隠語のような表現です。蕎麦を熱盛にする、という隠語で「直実にする」ってのもありますが、これも平敦盛熊谷直実にちなんでいて、源平合戦一ノ谷の戦い熊谷直実平敦盛を討ち取ったことに由来している隠語です。

熱盛蕎麦は蕎麦切りを一度湯がいて一旦冷水で締め、更にせいろに乗せて蒸していきます。蒸されるので当然蕎麦切りは熱々で柔らかすぎるぐらいふにゃっとなり、そして鶏卵の研ぎ汁の中へ熱々の蕎麦つゆを入れ、その中に蕎麦切りを潜らせてズルズルっと熱いまま食していくスタイルの蕎麦を言う、と理解してもいいでしょう。なお、蕎麦切りを一度湯がいて一旦冷水で締めた後に、蒸さずに再度湯通ししたり熱湯を掛けたりするという手順もあります。

熱盛蕎麦の誕生背景の通説としては、蕎麦の収穫時期が秋~冬のために温めて蕎麦を食べる風潮があったこと、誕生時の江戸時代では製粉、保存、衛生環境が良くなく蕎麦は痛みやすくて消化の悪い食べ物とされていたので、温かくして食べることは理に叶っていたからでは、とされています。ま、熱盛に限らず江戸時代は件の理由でもともと蕎麦切りは蒸して食べられていたんですけどね。更に現在のような蕎麦つゆで食べるのではなく、煮貫(にぬき)と呼ばれる味噌だれで蕎麦切りを食べていたとか。

 

余談はさておき、店に入ります。

改装しておよそ1年。店内はとても新しくって清潔感があります。ちょっと食堂チックな雰囲気ですがまあいいでしょう(^^ゞ 本質は雰囲気ではなく蕎麦ですから。
店の奥の方には若干昔の店舗の店内っぽい雰囲気の座敷席はあります。席数確認するの忘れてましたが、多分テーブル席と座敷席合わせて40席分以上はあるのかな…と思われます。けどテーブル席が多い方がこのお店にとってはいいことだと思います。だって結構ご年配の常連さんぽい人多く来てましたので、座敷よりテーブルの方が人に優しいでしょう(^^)

歴史ある老舗店ってこともあってのことでしょうけど、なんせ人が多い!ひっきりなしに人がやってきます。案外高級車で来られる方が多かった印象ですね。またぱっと見ぃの客層は比較的高年齢の方が多く、そんなことからもわかるように由緒ある店に恐らく昔からの常連さんっぽい方々が来られているなのかなぁと。愛顧の様子がよくわかりますね。写真には写っていないですが、車椅子に乗ったおばあちゃんが家族に介助されながら店に来られていました。きっと昔からこの店に通っていた常連さんだったのかも知れません。

さて、注文しましょう。

蕎麦メニューは「せいろそば」のみです。一斤と1.5斤(一斤半)から選ぶことになります。今回は一斤半のせいろそばを注文しました。

では頂いたお水を飲んで蕎麦を待ちましょう。ちなみに以前は、蕎麦の味が変わってしまうからという理由で子ども以外お水の提供は基本無かったそうですが、今は自動的に持ってきて頂けるようです。昨今、上水が美味しく飲用に供することができるようになったからかも知れませんね。

 

  せいろそば(1.5斤)

せいろそば(1.5斤)

------ 蕎麦切り ------------------

くどいようですが、ちく満さんの熱盛は生粉打ちの蕎麦を一度茹でた後に、せいろに乗せて蒸して作られています(ちく満さんではどうも湯掻いた後の水締め工程はなさそうです)。生粉打ち+茹で+蒸し、なので当たり前のように蕎麦切りはふにゃふにゃになりコシのチカラはほぼゼロです。箸先をちょいっと動かすだけで余裕で千切れるぐらいなので、蕎麦切りを箸で掴んでお猪口に移す時などは、箸を持つ指の力を多少コントロールした方がいいでしょう。感覚的には絹ごし豆腐の冷奴よりかは少し硬いかも?というような感じです。

せいろの蓋を開けると湯気がふわあっと漂い始めます。また見た感じ、エッジが削がれたかのように蕎麦切りは丸みを帯びています。蓋を開けて漂う湯気と香気を楽しみ、そして蕎麦切りが熱々のうちに、熱々の蕎麦つゆ+溶き卵に潜らせて一気に食べ進めます。これが熱盛であり、熱盛の食べ方です。

食べ始めると唇だけで切れるほど柔らかい蕎麦切りの塊が口の中でホロホロ解けていきます。同時に蕎麦つゆと溶き卵が絡んだ蕎麦切りを歯を使わず殆ど口の動きだけで咀嚼していきます。仄かな蕎麦の香りと白木製のせいろの仄かな木の香りが湯気に混じり鼻腔を通過していくのがとても心地よかった… この香りに歴史や文化が詰まっているように思えました。

ちなみに1.5斤のせいろそばを注文しましたが、お腹が空いていたのと食べ始めるとグイグイ止まらない勢いで箸が進むので、食べ足りずに一斤追加しました。成人男性の場合だと多分3斤ぐらいは余裕で食べれますね。

 

------ 蕎麦つゆ ------------------

蕎麦つゆは徳利に入れられてやって来ます。熱すぎて素手で持てないので、写真には写っていませんが徳利を持つ専用の湿ったふきんが添えられていました。溶き卵と合わせることが前提となっているためか、かなり濃厚濃いめでやや甘口な蕎麦つゆです。仄かな鰹風味漂う出汁で、多少の発酵感があり酸味を感じます。かえしは濃口醤油にみりんの甘みが十分感じられるものでした。

 

------ 薬 味 --------------------

鶏卵、青葱、山葵の三種。

青葱はシャキシャキ感に優れ、また香りも高く蕎麦切り、蕎麦つゆと見事にマッチし相性抜群です。山葵は粉わさびのようです。辛味・刺激はあまりなく風味も然程ありません。これは雰囲気だけ…と思っていてもいいでしょう。濃い蕎麦つゆ+溶き卵には、山葵は特に有ってもなくてもどちらでもいいかも…とは思いますが、これが店の伝統なら素直に受け入れましょう。

 

------ 蕎麦湯 --------------------

ストレート型蕎麦湯。風情ある真鍮製の器に蕎麦湯が入っています。ちなみにちく満さんでは蕎麦湯のことを「かまくら」と呼んでいます。何故かまくらなのかは知らないゴニョゴニョ…😪

蕎麦切りの雰囲気を直感的に感じられるのはこの蕎麦湯でした。白濁半透明でサラサラし、そして素朴に蕎麦の香りが漂います。蕎麦つゆがかなり濃いめなので、使う蕎麦湯の量は少し多めになりますのでご注意ください。

熱盛蕎麦の余韻をふんだんに感じ取れる、温かい〆になりました。寒い時期にこれを頂くと、身も心もホクホク感に包まれること間違いなし。いやホントですって💕

 

江戸時代の蕎麦の歴史、上方文化の中に生きていた熱盛蕎麦。感慨深く味わうことが出来ました。

ちなみにちく満さんのあるこの堺のエリアには、他に事実上の暖簾分け店と、ちく満さんの親族が営んでいる別のお店もあるそうです。ここで語ると長くなりそうなので今はやめておきます。余談でした。


では駐車事情のお話です。

ちく満さんでは敷地内駐車場があり、15台近く駐車可能です。↓の動画の冒頭観て頂ければよくわかりますが、表通りの大道筋側から店の入口横に進入してこの駐車場に進入してきます。

なお店の入口最寄りのスペース1台分は身障者用です。 また店内はバリアフリー施工なので、車から降りて車椅子のまま店内に入れます。

駐車可能台数は多めですが、訪問客数も多いためタイミングによっては駐車場は満車近くになります。しかし店の回転が早いため、暫く待っていると駐車スペースは空きます。店の回転が早いってのがまた粋な感じがしますね。

 

以上です。熱盛蕎麦については大阪、神戸、京都で老舗店がいくつかあるので、いずれまたそちらにも行ってみたいなぁと思います。

 

ではまた次回の蕎麦探訪でお会いしましょう~\(^o^)/~~~

 

「ちく満」主観的評価
★★★★★★★☆☆☆
(何度でも行きたくなる素晴らしい蕎麦店)

 


https://youtu.be/IZwbig6fh9c?si=rZ92xT8OpEtWS8Jj

 

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