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このブログでは、関西・近畿とその隣接域を主体に、主に車中泊キャンプの様子や野外活動にまつわること、趣味の蕎麦食べ歩きや愛車・クルマのことについて綴っていきます。

【蕎麦探訪記 No.077】手打ちそば 木琴

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手打ちそば 木琴

訪問日:令和2年7月24日 10:56着
天 候:雨
気 温:26℃
湿 度:70%
URL:https://www.facebook.com/teuti.mokkln/
電 話:080-1419-2442
所在地:兵庫県丹波市山南町南中113-6

https://goo.gl/maps/WNAGYj1RtvBZxvXk7

 

店の営業は木・金・土曜日の10:53~15:33です。営業時間の不思議な区切りからして不思議な個性を感じさせます。で、ひょっとして「木琴」の響きから察するに営業日が木・金・土曜日だから「木琴」なのか、ものまね鳥のMockingbird(マネシツグミの英名)から来てたりするのか、いやいや単純に木琴に何かゆかりがあるからなのか、と店名の命名の意味にも想像力を掻き立てさせられます。

というのも、この店の店主殿はもともと奥丹波の蕎麦店のリーダーシップ、「そばんち」の創業者でもあり、「奥丹波麦人会」発起人かつ「奥丹波そば街道」という文化を作られた、あの佐藤勉氏が店主の店です。佐藤氏と言えば、自由奔放かつ大胆、そして個性と発想力・想像力にあふれ、温和な趣で優しげなお人柄の方。もはやアーティストの域に達せられているような気がします。

これまで、佐藤氏がそばんちで蕎麦を打たれていた時の蕎麦は食べたことがなかったので、佐藤氏が打つ蕎麦を、ここではじめて食することができました。

 

今回は開店直後一番乗りで店に到着。着くやいなや店の自然なスタイルに驚かされます。店内席もありますが最近はオープンカフェスタイルのように、建物の外にもテーブル席があります(雰囲気づくりとSARS-CoV-2対策を兼ねておられるようです)。

本日はオープンカフェっぽく建物外のテーブル席で蕎麦を頂くことになりました。

 

粗挽き十割そば(大盛り)

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《蕎麦切り》

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未確認ですが、おそらく福井県丸岡産の蕎麦を使用。
灰白色というか蕎麦切色の蕎麦切りで、スクエアカットの太めの蕎麦切りです。蕎麦切りには粗く挽かれた蕎麦の実の、極小のつぶつぶが散りばめられています。これが原因でしょう、蕎麦切りを口にして噛み締めた直後の蕎麦の香りが怒涛のように押し寄せます。香り立つ、まさにそんな印象を覚えます。

スクエアカットの太めの蕎麦切りは、口当たりから野性味、男らしさを感じさせます。咀嚼を始めると、強い香りが放たれると同時に強い弾力が顎を鍛えます。モチモチと変遷していきます。嚥下も男らしく、「ゴクッ」と飲み込む!という印象でした。総じて、食感も香りも非常にハイレベルで優秀な蕎麦切りであると言えます。


《蕎麦つゆ》

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甘辛度中庸点か、少しだけ醤油加減が強い目か、と思わせる塩梅の蕎麦つゆです。少量の蕎麦つゆでも十分に蕎麦切りと合わせることができます。かえしの濃厚感がしっかりと伝わり味覚野を刺激します。

関西方面でありがちな甘めの蕎麦つゆではなく、しっかりと地に足ついたキック力のある蕎麦つゆでした。


《薬味》

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この店は他店と比べても非常に珍しく、「山葵」や「辛味大根」等の刺激薬味がありません。薬味として提供されたのは刻み青葱のみ。こういったあたりに蕎麦打ちのポリシーのようなものを感じさせます。そしてこの青葱は非常に香り高い。店頭販売品のような印象は一切なく、収穫したてのような香りがします。シャキシャキ感にも優れています。

通常、このような強い香りの青葱は蕎麦切りの風味を負かしかねませんが、この店の生粉打ち蕎麦の香りも十分強いため、ライバル同士の美味しい喧嘩の様態です。どちらの個性も強いが、どちらも負けていない。そしてその姿が一つの形となっているようなものです。


《蕎麦湯》

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蕎麦屑型の蕎麦湯。この場合は開店直後の蕎麦湯は若干パンチ力に乏しいですが、変に加工された蕎麦湯を提供されるより余程マシです。これはこれで好感度は高いです。

しかし少しでも蕎麦切りを湯がいた湯、というのは蕎麦つゆを生まれ変わらせます。当然蕎麦つゆを割って飲むことになりますが、濃厚で激しいドリブルシュートを放っていた蕎麦つゆが途端にまろやかに変わっていきます。安堵さえ覚えさせられます。

 

辛味おろしそば

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こちらは二八の蕎麦切りで、前述の生粉打ちよりも細めに裁断されています。口当たり・リップタッチを重視された結果でしょうか。

佐藤氏の作るおろし蕎麦及びそばんち系列の店のおろし蕎麦の最大の特徴は、写真をみてもよくわかるようにカラフルな辛味大根おろしです。どの店でも大体3色で彩られます。木琴さんでは写真手前に見えている黄色い液体(シークワーサーの果汁だそうです)をおろしに垂らして色を変化させます。薄紫色のおろしにこの果汁を垂らすと、色が濃いピンク色に変わっていきます。ちなみにもともとの着色方法については知りませんw いつか聞きたいと思っていながら、結局今回も聞けずじまいでした…

今回、辛味大根は「めちゃ辛っ!」というものではなく、非常に優しげな辛味でした。万人迎合な辛さです。これは(実際よく知りませんが)多分、辛味大根の品種や旬の季節等での辛さの変化だと思われます。これにシークワーサーの柑橘風味が加わり、夏季に食すおろし蕎麦としてはピッタリな一品であったのかな、と思われます。個人的嗜好を言うと私の蕎麦レビューポリシーに反する行為になってしまいますが、あえて言うと、おろし蕎麦は刺激的すぎるぐらいの辛味は欲しいです。しかし、人から愛されるものというのはユニバーサルでなくてはならないと思いますので、今回のおろし蕎麦は甘んじて受け入れることにします。

 

店主・佐藤氏はもともと「そばんち」の店主で、「そばんち」は次世代へ引き継ぎ、今はこの店で悠々自適に蕎麦を打っていらっしゃいます。その自由な雰囲気が店全体にも表現されています。

クラフト感たっぷりの店全体の空気感、

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カフェもあったり、

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薪割り加工もされていたり、店の一角には何故かお風呂があったりと、とにかく自由な空気があります。まさに遊び心、という言葉がぴったりな雰囲気です。

そして「せせこましい」という言葉はこの店にはありません。来客来訪者はみなこの店でまったりとした時間を過ごすことができます。いずれ機会があれば、お風呂を利用させてもらいたい…

食後に佐藤氏と話す機会があり、この店のビジョンや店全体の案内などを聴き、自由に楽しんで蕎麦打ちはじめ心のある空間を作っていらっしゃることが十分にわかりました。また今後の野望wなども聴いたり、とにかく佐藤氏の人柄、蕎麦打ちの心が本当によくわかりました。

一言、この店は素晴らしい店です。

 

実務的なお話に戻りますが、この店の駐車事情など。

店の敷地内には、これもクラフト感あふれる駐車場があります。

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写真ではわかりづらいですが、おそらく7~8台は駐車可能と思われます。(白い1BOXの向こう側にも駐車スペースがあります)

なお、この店は有り難くもあまり俗世間の認知がないため、妙な食べロガーとか「口コミ見て美味しいって書いてあったので来ました~」的な客層はあまり来ないないように思います。また周囲に目立った観光地も無いので、そういった層もあまり来ないのではないかと思われます。おそらく地元近郊の一部の常連さんやツーリング・ツーリストが立ち寄るような印象があります。そういった意味で、できれば今後も俗っぽいのは来ないでほしい店でもあります。この店の空気が変わっちゃいますので。

と、こんな記事にしてしまうと社会の認知が進みそうで若干心配ですが、当方、弱小ブログなので影響力ほぼ無いでしょうから安心してますw

 

また行こう、「木琴」さんへ。


【蕎麦探訪記】手打ちそば木琴(77店目)

 

「手打ちそば 木琴」主観的評価

★★★★★★★★☆☆

(完璧に近いレベルの蕎麦店)

 

 

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